「心のなかの冷たい何か」 若竹七海

「心のなかの冷たい何か」 若竹七海 [Amazon]

*あらすじ*

主人公は若竹七海
彼女は4年間勤めていた会社を退職し気晴らしに日帰りの旅に出ます。
その旅の途中で出会った一ノ瀬妙子という女性。
私達は「友人」なのだろうか?
たった一日しか一緒にいなかったのに。
だが彼女がある晩謎めいた電話をしてきた。
繰り返し「社内に観察者 実行者 支配者がいる」という。
そして自殺未遂した・・・・。

鬼気迫る手記に慄然としながら、敢然と真相を追うヒロインの孤独な戦い。

◇感想

この作品、若竹さんにとっては2作目の本だったんですね、驚きです。
毒があるのは勿論のこと、すごーく巧みに読み手の心理を利用しているのか私はまんまと騙されました。
まさか一部で手記を追う探偵役が××だなんて。
もろネタバレになるので書きませんが思わず本の前で固まってしまうくらいビックリしました。(笑)
驚いたのですが妙に納得したのも事実です。

しかしこの「手記」が怖いんですよね。
あんな母親に育てられると「歪み」が出てくるだろうなぁとは思いますが、小学生の頃から毒を使って
人を死に追いやる、しかも心の呵責もなしに・・・・本当に「心なかの冷たい何か」を見てしまったよ
うな気分になりました。

そして第2部では主人公がかなり痛い目にあいながらも事実へと近づいていきます。
何ともまぁここまでキツイ人が多いのかしら?と思うくらい次から次へと強敵が現れるし喧嘩腰の会話
や若竹さんの心の中の毒づきが面白くもあり痛々しくもありました。
人の心の嫌な部分だけ見せられているようで真相に辿りついても全く幸せでない七海。
何とも言えないのですが、これがこの方の作品の魅力なんですよね。

物語の中で今まで見ていたものが180度変わる箇所が何度かあってその度に驚きと戸惑いのあった1冊
です、何だか読み終わって妙にグッタリしたのは気のせいかしら?
会社のお茶には気をつけましょう?(笑)